知っていると通!居酒屋のお通し文化と楽しみ方

投稿日:2025/08/29

知っていると通!居酒屋のお通し文化と楽しみ方

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居酒屋の扉を開けた瞬間から始まる、特別な時間。賑やかな声、活気あふれる厨房の音、そして立ち込める美味しい匂い。席に着いて、まずは飲み物を注文。そして、飲み物と一緒に運ばれてくるのが、「お通し」です。

多くの人にとって、お通しは「注文していないのに出てくる料理」という認識かもしれません。しかし、この小さな一皿には、日本の居酒屋文化を深く知るためのヒントがたくさん詰まっています。知っていると、いつもの居酒屋がもっと楽しくなる。そんな「お通し」の魅力と楽しみ方を、一緒に紐解いていきましょう。

 

お通しとは? その起源と役割

まず、お通しとは一体何なのでしょうか。

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お通しは、居酒屋や和食店で、客が最初に注文した飲み物と一緒に提供される料理のこと。料金は席料やチャージ料として会計に含まれているのが一般的です。

このお通し文化の起源には諸説ありますが、最も有力なのは、料理ができるまでの間、お客様を退屈させないための「時間つなぎ」という説です。混雑している時など、注文した料理がすぐに出てこない場合に、お酒を飲みながら待ってもらうための一品として始まったと言われています。

また、店側からすると、その日の仕入れ状況や旬の食材をアピールする場でもあります。店主や料理人の腕前をさりげなく披露し、次の料理への期待感を高めるという大切な役割を担っているのです。

お通しは、単なる「突き出し」や「サービス」ではなく、お店からのおもてなしの心、そして最初の挨拶の役割をしています。

お通し文化にまつわる素朴な疑問

お通しについて、多くの人が疑問に思っていることをいくつかピックアップし、解説します。

Q1. お通しは断れるの?

お店によって対応は異なりますが、結論から言うと「断れるお店と、断れないお店がある」というのが実情です。お通しをチャージ料(席料)と捉えているお店では、断ることが難しい場合が多いです。一方で、純粋なサービスとして提供しているお店では、断ることも可能です。

迷った時は、注文時に「お通しは頂かなくても大丈夫ですか?」と丁寧に聞いてみましょう。

Q2. お通しって何でこんなに高いの?

お通しの料金は、一般的に300円から500円程度。中には1000円を超えるお店もあります。この値段設定に疑問を持つ方もいるかもしれません。

この料金は、単に目の前の一皿の材料費や調理代だけではありません。席料、サービス料、人件費、そしておしぼり代や箸代といった諸経費が含まれていると考えるのが妥当です。高級店や特別なサービスを提供するお店では、このチャージ料が高くなる傾向にあります。

納得がいかない場合は、お店を選ぶ際に、お通しの有無や料金を事前に確認するのも一つの手です。

お通しでわかる「いい居酒屋」の見分け方

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居酒屋の本当の実力は、お通しに現れると言っても過言ではありません。ここでは、お通しから「いい居酒屋」を見分けるためのポイントを3つご紹介します。

 料理のテーマと連動しているか

お通しがそのお店の看板メニューや、料理のテーマと連動しているかどうかに注目してみましょう。例えば、新鮮な魚介が売りの海鮮居酒屋なら、お通しに新鮮な刺身や煮魚が出てくることがあります。串焼きが自慢の焼き鳥屋なら、鶏肉を使った小鉢が出されることも。

このようなお店は、お通しを通じて「うちの店はこんな料理が美味しいですよ!」と自信を持ってアピールしている証拠です。

だし劇場 〇△□ (マルサンカクシカク) 札幌総本店

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<お通し> おでん食べ放題

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手間暇かかっているか

ただ枝豆を出したり、漬物を添えたりするだけのお店もありますが、ひと手間かけたお通しが出てくるお店は、料理に対する真摯な姿勢がうかがえます。

例えば、丁寧に下処理された和え物、季節の野菜を使った煮物、こだわりの出汁で仕上げた一品など。こうした料理は、客を喜ばせたいというお店の心意気の表れです。

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池袋の風

<お通し> タンシチュー

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旬の食材が使われているか

お通しにその季節ならではの食材が使われているかどうかも、チェックポイントです。春には菜の花のおひたし、夏には冷たい胡瓜の和え物、秋にはきのこを使った一品、冬にはカニや牡蠣など。

旬の食材を積極的に使うお店は、食材へのこだわりが強く、料理全般に対する意識が高いと考えられます。

通はこう楽しむ!お通しの楽しみ方

お通しの背景や役割がわかったところで、さらに居酒屋時間を満喫するための「通」な楽しみ方をご紹介します。

お通しから会話を広げる

お通しは、お店の人とのコミュニケーションのきっかけになります。

「このお通し、美味しいですね!これは何ですか?」

「このお通しに使われている野菜は、どこで採れたものですか?」

このように一言声をかけることで、お店の人が喜んでくれ、会話が弾むことも多いです。料理のこだわりや、今日のおすすめメニューなど、思わぬ情報が聞けるかもしれません。

お通しを酒肴として楽しむ

お通しは、一杯目の飲み物と一緒に楽しむための料理です。

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ビールには枝豆や和え物、日本酒には珍味や煮物、焼酎には漬物や冷奴など、お酒との相性を考えながら味わうのが通の楽しみ方です。

また、あえて追加で注文する料理とは系統が異なるお通しが出てきた場合は、それを「前菜」として楽しむことで、コース料理のような流れの食事が楽しめます。

お通しを楽しもう!

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「お通し」は、単なる「サービス」や「席料」ではありません。それは、日本の食文化を支える「おもてなしの心」であり、お店と客をつなぐ大切な接点です。

居酒屋に行った際は、ぜひお通しに注目してみてください。その一皿が、お店の人との会話のきっかけになったり、お店の本当の実力を見抜くヒントになったりするはずです。

お通しを深く知ることで、あなたの居酒屋での時間は間違いなく豊かになります。さあ、今夜も居酒屋へ繰り出して、一期一会のお通しとの出会いを楽しみましょう。

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